昨年の春に、NHKのラジオの「カルチャーラジオ」で高浜虚子が取り上げられ、虚子の言葉「選は創作なり」が番組のタイトルとなっていました。虚子は、ホトトギスにおける「選」を通して秀句を発掘して、優れた人材を育てた人で、また「選」を通して自らの俳句の創作力を磨き上げたということをメインに虚子にスポットを当てたのがこの番組の趣旨です。タイマーで録音しておきながら、つい聞かぬままで年末になってしまい、このテキストを注文したのも12月になってからです。

今の研究テーマである「センス」も、生徒のセンスを教員の鑑識眼を通して見抜き、更にその後の生徒への指導や評価にスポットライトを当てていますが、見抜く力と共に、それ以降の指導に結びつける力も大切です。
虚子のホトトギスの「選」は、私が「センス」に注目をする切っ掛けとなった中国の韓愈の『雑説』に通じるものがあるように感じます。
世有伯楽
然後有千里馬
千里馬常有
而伯楽不常有
世に伯楽ありて
然る後に千里の馬有り
千里の馬は常に有れども
伯楽は常には有らず
韓愈の『雑説』より